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高校を卒業して、モデルの道に進んだのは……
少しでも、翔くんに近付きたかったから。
20歳離れてても……女として翔くんを見てるって、
気付いて欲しかったから。
2年前から、周囲にも……翔くん本人にも、気持ちを隠さなくなった。
言葉で伝えて、態度で示しても……翔くんには、伝わらなくて……
中学、高校の6年間……
避けて、翔くんから話し掛けてくれても、素直な態度で接することが出来なくて……
だから、本気にしてもらえなかったし……私が翔くんを嫌ってるって、思ってたんだよね……
それが180度態度を変えて、猛アピールされたら、翔くんが戸惑うのも、仕方ないって……今なら分かる。
翔くんは、なついてた子がなつかなくなって……少しは寂しいって思ってくれたかもしれないけど……
『好き』って言ってるのに……私と距離を取ろうとして、私のこと避け始めた半年前から……昨日まで……本当に辛かったんだから……
絶対に叶わないって、思ってた……
それでも……好きだから諦められなかった……
翔くんが……翔くんだけが、
大好きだから……
あの頃と変わらない、翔くんの温かい腕の中……
でも……あの頃と違う……
私に向けてくれる、翔くんの想いは……
あの頃と違う……
暗闇の中で、確かに感じる翔くんの温もり……
もっと……ちゃんと確かめたくて、震える腕を、翔くんの首に回す。
翔くんがいてくれるなら……怖くない……
この腕を……離したくない。
「陽菜ちゃん……時機に停電も復旧すると思うから……大丈夫だよ」
翔くんの手が、私の後頭部を優しく撫でる。
「……うん……翔くんが抱きしめてくれているから……大丈夫……ひとりだったら……パニックになってた……すぐに来てくれて、ありがとう」
「そりゃ来るでしょ!大事な陽菜ちゃんが怖い想いしてるの、分かってるし……それに、例え陽菜ちゃんが雷や、暗いの苦手じゃなくても……来てたよ。真っ暗なとこで動いて、怪我でもしたら大変だしね……陽菜ちゃんを、守るのは俺の役目!」
当然……みたいに、そう言ってくれる。
当たり前なんかじゃない……
自分より、誰かを思う優しさは、当たり前と受け取るものじゃないって……
小学4年のあの頃に、知った。
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