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0000 魔法使いは友達がいない
「つまり、『理由は分からないが死んだ俺を他の世界で生き返らせてやるから、その代わりに手伝って欲しい』ってことか?」
ひたすらに黒い空間。自分の身体と目の前に座る女の身体だけが認識することを許されているような、妙な感覚に違和感を覚えながら確認する。
「そう、そういうことだ。理解が早くて助かるよ。きみ以外にも数人、似たようなことを頼んだけれど、みんな理解するどころか自分が死んだということを受け入れるまでに相当時間が掛かったからね」
やれやれとばかりに長い白髪を揺らして首を振る。
そんなことよりその髪のほうが俺には気になるんだけど……ファンタジーの住人なのか、脱色し過ぎちゃったただの痛い子なのか。
「痛い子じゃないよ、失礼だなきみ。これもこの瞳も生まれつきだ」
指で髪を摘みながら、ルビーのような赤い瞳で睨め付けてくる。なんというか、無駄に顔が整っているせいか目力が凄い。ぞくぞくする。
そんなことを考えた瞬間に、女がさっと身を守るように肩を抱いたのはひとまず置いておこう。それが生まれつきなら、俺にも心当たりはなくもないのだ。
「なるほど、先天性白皮症か」
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