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第5章 モテ期到来?
九月も初旬が過ぎ、ようやく先月から続いていた彼女の繁忙期が
終わりを告げた。
まだ、付き合って間もなかった去年のこの時期、
僕は、全然、彼女に会えなかった。
それだけに、この時期がどれほど忙しくなるのかは、想像もつかなかった。
だがそれは、僕が想像するよりも遥かにすごかった。
連日の残業は元より、時を追うごとに彼女の顔に疲労が滲み出てきて、
最後の数日は、話をするのすら億劫なように見えるほど
彼女全体から疲労感が浮かび上がっていた。
だから、この数週の間に僕が彼女に出来た事は、
できるだけ疲れている彼女の体にも負担にならない夕飯を作っておくことと、
時々、彼女をギュッと抱きしめることくらい。
本当に自分の無力さを実感させられるほど、僕は、彼女を見守るしか
出来なかった。
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