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ここで、立ち尽くす僕の目の前で、
元カレと勘違いをしたすごく大人でステキな人の車で
彼女は走り去ってしまった。
追いかけたくても足が動かなくなって、
彼女の心ごと離れてしまったような焦りと混乱と
震えるほどの置いてけぼり感。
それを味わったその時から、一年足らず。
そこで、あの時と同じように偶然、ビルから出てきた彼女に
声を掛けようとして、僕は、思わず足を凍り付かせた。
僕の所に、声まで届きはしなかった。
しかし、明らかに彼女を待っていたらしきスーツ姿の男性が、
いきなり車から降りてきたと思うと、彼女を呼び止める。
そして少しの間、会話を交わした後で
彼は、手にした小さなブーケを彼女に差し出した。
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