第5章 モテ期到来?

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彼女の横顔は薄っすらと困惑を浮かべ、 そして両手と一緒に首を振って、それを断った。 しかし彼から再び何かを言われ、短く躊躇をしたものの おずおずと彼女の細い手がブーケに伸びていく。 だが僕は、黙ったまま彼女がそれを受け取るのを 見過ごすことは出来なかった。 「ナッちゃんっ!」 大きく掛けた僕の声に、彼女たちが同時にこちらを見る。 「冠くん……?」 当然ながら驚く彼女に歩み寄りながら、この時の僕の頭には、 今の彼女が仕事の立場にあるのか、そうでないのかなど 気遣う余裕は全くなかった。 だから自分が、どんな顔をしていたかも分からない。 だが、彼女の目の前の若い男の顔は、明らかに強張っていた。 そして、 「あの……」 再び口を開きかけた僕に続くように、彼女が言った。
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