第5章 モテ期到来?

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「熊田さん、主人です。 冠くん。こちら、運送会社の熊田さん。いつも仕事で、お世話になってるの」 笑顔の彼女が、如才なく紹介してくれる。 だが僕たちは、互いに、なんとなくぎこちなく頭を下げ合うのが精一杯。 そして、 「じゃあ、熊田さん。これで、私たちは失礼しますね。 あの、どうぞお元気で……」 お世話になりました。 爽やかに言う彼女の手が僕の手にそっと滑り込んできて、 僕はもう一度、小さなブーケを手にしたまま やや呆然とする男に頭を下げて、彼に背を向けた。 「迎えに来てくれたの?」 歩きながら、嬉しそうに彼女に聞かれる。 しかし僕は、やっぱり微笑み返すことが出来なかった。
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