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「熊田さん、主人です。
冠くん。こちら、運送会社の熊田さん。いつも仕事で、お世話になってるの」
笑顔の彼女が、如才なく紹介してくれる。
だが僕たちは、互いに、なんとなくぎこちなく頭を下げ合うのが精一杯。
そして、
「じゃあ、熊田さん。これで、私たちは失礼しますね。
あの、どうぞお元気で……」
お世話になりました。
爽やかに言う彼女の手が僕の手にそっと滑り込んできて、
僕はもう一度、小さなブーケを手にしたまま
やや呆然とする男に頭を下げて、彼に背を向けた。
「迎えに来てくれたの?」
歩きながら、嬉しそうに彼女に聞かれる。
しかし僕は、やっぱり微笑み返すことが出来なかった。
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