17人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも彼、年内で今の会社を辞めて、ご実家のある山形に帰るんですって。
だからその前に、どうしても気持ちを告げて、きちんと自分にケジメを
付けたかったって」
そう言われ、「もう、二度と会う事もないでしょうから」と
渡されたブーケは、受け取ろうかと思ったという。
「でも、偶然、冠くんが迎えに来てくれて良かった」
えっ……?
彼女の話を聞きながら俯き加減で歩いていた僕は、
思いがけない事を言われて、思わず彼女を見返した。
そんな僕に、彼女は微笑んだ。
「だって、旦那さまを紹介されたら、
どう頑張っても、未練は残せないでしょ?
彼ね、とても仕事も出来るし、すごく親切で真面目な良い人なの。
だから、ちゃんと幸せを見付けて欲しいなって思うから」
最初のコメントを投稿しよう!