第4章 今年は二人だけで(続き)

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だが、ウチのような小規模の会社は こういった無理に答えなければならないのは珍しくもなく、 それを承知しているからこその彼女の返事であることも分かっている。 それでも、僕の気持ちとしては、なんとか今日中に帰宅をしたかった。 そして、せめてプレゼントだけでも彼女に渡したい。 こんな事なら、朝の内に渡してくればよかったな――。 僕は、今夜渡そうと持ってきたプレゼントの入ったカバンに視線を落とす。 だが、そんな僕の心のボヤきなど素知らぬ顔で 流れる車窓の景色と共に電車は、僕を面倒な現場へ淡々と運んでいった。
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