第4章 今年は二人だけで(続き)

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「遅くなって、ごめんね。お誕生日おめでとう、ナッちゃん」 それに、いつもの様に小さく笑った彼女が「開けてもいい?」と尋ねてくる。 うん。 頷いた僕の目の前で、彼女の細い指が ゆっくりと、真っ赤なリボンが解いていく。 そして、細長い箱から現れたのは、 彼女の誕生石である小さなルビーがはめ込まれた 四葉のクローバーのペンダント。 それを嬉しそうに見つめ、僕を見上げた彼女から、 「冠くん、付けてくれない?」 ペンダントが差し出される。 うん。 僕は、それをそっと取り上げると、彼女の白い首に付けた。
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