4941人が本棚に入れています
本棚に追加
親友の内野舞に電話した。
彼女は小学校からの親友で、もちろん一輝のことも知ってる。
4年前に結婚して、ご主人の転勤で都内に住んでいる。
私の暗い声に、舞はすぐに駆け付けてくれた。
スペインバルで飲みながら事の経緯を話、舞の第一声は
「別れなよ」
だった。
私は困った顔で笑うしかなかった。
「29歳で、地に足がついてないなんて致命傷。松嶋は何がしたいわけ?」
「やりたいことを探してるのかもしれない」
「やりたいことやって生きてる人なんて多く居ないよ。みんなやりたくないこともやって、頑張って生きてるのよ」
確かにそうだ。
「夢が叶ってやりたいことやれても、続けてたら壁だって出てくる。結だってそうでしょ?9年間ずっと楽しかったわけじゃないでしょ?」
悔しい思いも、理不尽なことも、辛いことも耐えてきた。
「そうだね」
舞は心配そうに私を見つめる。
その顔を見て、申し訳なくて笑って見せた。
「笑わなくていいよ、辛いんだから!」
舞の優しさに泣きそうになる。
最初のコメントを投稿しよう!