まさかの転職

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親友の内野舞に電話した。 彼女は小学校からの親友で、もちろん一輝のことも知ってる。 4年前に結婚して、ご主人の転勤で都内に住んでいる。 私の暗い声に、舞はすぐに駆け付けてくれた。 スペインバルで飲みながら事の経緯を話、舞の第一声は 「別れなよ」 だった。 私は困った顔で笑うしかなかった。 「29歳で、地に足がついてないなんて致命傷。松嶋は何がしたいわけ?」 「やりたいことを探してるのかもしれない」 「やりたいことやって生きてる人なんて多く居ないよ。みんなやりたくないこともやって、頑張って生きてるのよ」 確かにそうだ。 「夢が叶ってやりたいことやれても、続けてたら壁だって出てくる。結だってそうでしょ?9年間ずっと楽しかったわけじゃないでしょ?」 悔しい思いも、理不尽なことも、辛いことも耐えてきた。 「そうだね」 舞は心配そうに私を見つめる。 その顔を見て、申し訳なくて笑って見せた。 「笑わなくていいよ、辛いんだから!」 舞の優しさに泣きそうになる。
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