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「でもさ、忍耐力がないわけじゃないと思うのよ」
舞はそう言ってため息をついて考え込んだ。
「一輝が?」
「そう。中学の時は学年トップだったでしょ?高校も進学校に入って常に学年上位だったみたいだし、そこからストレートでT大でしょ?」
「…うん」
「いくら元々頭よくても、勉強しなきゃ無理でしょ」
「記憶力はビックリするくらいいいよ」
「それだけじゃ、無理だよ。本人の努力があるだろうし…」
舞の言う通り、一輝は忍耐力がないわけじゃないはずだ。
「どちらにせよ、一輝は結婚相手じゃないよ」
舞の発言にビックリする。
「結だって、結婚願望はあるでしょ?」
「そうだけど…」
「一輝は結婚相手じゃないよ」
改めて言われると落ち込む。
「今年30歳になるんだよ。ちゃんと先のこと考えなよ」
「一輝が好きよ」
「だろうね。じゃなきゃ、浮気するわ、地に足をついてないような男とは付き合えないよ」
舞も困ったように笑った。
「結に幸せになって欲しいよ」
舞の優しさが身に染みる。
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