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1時間以上待っても、一輝から連絡はなく、家にも戻って来なかった。
一輝のお母さんは、今日はホテルに一度戻って夕方出直すことにすると言った。
「コーヒーご馳走さまでした」
私はペコリと頭を下げた。
「いえいえ、本当はお食事も一緒にしたかったんだけど、それは今度にしましょうね」
優しい笑顔を向けて下さる。
「ぜひ」
私も笑顔でかえした。
挨拶を交わして、別れると暫くして私を追いかけて一輝のお母さんが戻って来た。
「結ちゃん」
息を切らして戻って来た一輝のお母さんは私の目をじっと見た。
「おばさま」
「貴女には貴女の人生があるのだから、一輝に振り回されないでね」
本当に心配そうに私の顔を覗く。
「誤解しないで、結ちゃんがお嫁に来てくれたら私は嬉しいの。でも、貴女の人生を台無しにしたりしたくないの。あの子に振り回されないで」
ひしひしと伝わった。
私のことを考えての言葉だと。
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