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土曜日の朝、5時に起きて出勤の準備。
ベットにはまだ、彼氏の松嶋一輝が寝ている。
私は起こさないように着替えて、お化粧をする。
1DKの一人暮らしの間取り、物音がすると起こしてしまいそうだから、そっと。
ドレッサーの鏡を覗き、自分を直視。
ため息。
すると、吹き出したような笑い声。
ベットで寝てたはずの一輝が、目を開けてこちらを見てる。
「ごめん、起こした?」
「目開けたら結が真顔で鏡見てるから、目覚めた」
「どういう意味?」
「歳くった?」
「仕方ないでしょ、もうアラサーなんだから」
私はパフを取って念入りにファンデーションをたたく。
「10代の結は可愛かったよな~」
「今は可愛くないわけ?」
「そんなこと言ってねーけど」
「そう?」
一輝はスマホで時間を見て驚く。
「まだ5時じゃん」
冬空の外はまだ暗い。
「昨日最終電車で帰って来て、5時起きで出勤とか、お前のとこもブラックだな」
私はお化粧を終えて、クローゼットからコートとマフラーを出して身につける。
「今日はブラコレだから。誰かさんの会社と一緒にしないで。出る時はちゃんと鍵閉めてね」
私は鞄を取って一輝の頬にキスをした。
「気を付けろよ」
うんと頷いて家を出た。
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