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狭間の存在
駆けつけた先生たちに取り押さえられるまで、僕は泣き崩れていたらしい。放心状態だったのか、その時のことはあまり覚えていない。
コンノは大した怪我もなく、押し飛ばされた時の擦り傷程度だと聞いた。だが、体育倉庫の被害は甚大で僕がしたことは許されるわけもなく、学校に呼び出された僕の両親は、真っ青になりながら何度も頭を下げていた。
僕は謹慎処分を命じられた。僕だけでなく、コンノやその取り巻きたちにも何らかの処分が下ったらしいが、興味がなかったのでそれ以上深くは聞かなかった。
両親に散々叱られ、特に父は僕の頬を殴り飛ばすほど怒っていたが、マヤマの母だけは違っていた。
話を聞きつけ我が家にやってきたマヤマの母は、僕の両手を強く握りしめて泣いていた。その手の温度から悲しくて泣いているわけではないのだと伝わってきたが、僕の心は冬のように冷え切っていて、届きそうにはなかった。
僕のやったことは褒められることではない。
マヤマのためを思うのなら、別の手段が最良なのだろう。これはマヤマのためでなく、僕のやつあたりだ。
僕が子供のままだったら。僕が大人になっていたら。僕はどんな行動を取っていたのだろう。
いくら考えても僕にはわからない。狭間の存在は中途半端なのだ。
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