大人の風

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 母に頼まれて買い物に行き、その帰り道だった。  暗くなった街を歩いていると、前方から女子集団が歩いてきた。  制服を着ていなくともわかる。その集団の中にコンちゃんがいた。 「大成功じゃん。やばくね、大金ゲット」 「動画送って、また見たいんだけど」 「わかったわかった。焼き肉食べながら、みんなで動画見よ」  僕の横を通り抜けていく。私服だからか、取り巻きたちは僕に気づいていない。  けれど、コンちゃんだけは、僕を見ていた。  何も言わず、表情一つ動かさず、そのまますれ違っていく。  ロープが跳ねている。  風は吹いていないのに、ロープが跳ねたのだ。  僕はしがみつくのに精一杯で周りを見る余裕もなく。  でも確かに、揺れていた。
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