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僕とコンノが体育倉庫に入ったところで扉を閉めた。追いかけてきた取り巻きたちは遮断され、扉を叩きながらコンノを解放しろと叫んでいたが応じるつもりはなかった。
僕はコンノを睨みつけて、低い声で言う。
「動画を見せろ」
「なんであんたに見せなきゃいけないのよ。アタシは関係ないから」
「いいから動画を見せろ!」
苛立ちそのまま、バレーボールが入ったカゴめがけてコンノを突き飛ばす。背中からカゴに打ち付けられたコンノはうめき声をあげてうずくまり、周りにはバレーボールが転がっていた。
「わ、わかった……動画、見せればいいんでしょ……」
ゴホゴホと咳き込みながら、コンノはポケットから携帯を取り出し、動画を再生した。
揺れている。
揺れているのだ。
薄暗く荒い映像から姿まではわからないが、瓶が割れる音が聞こえる。会話から察するに男が何かを蹴り飛ばしたらしい。コンノと男が何かを喋っていた。
そして、もう1人の声。
泣いていたのだ。
僕の、よく知っている人が。
彼女がロープから落ちていく音が、聞こえた。
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