5人が本棚に入れています
本棚に追加
子供と大人の境界線を僕は知っている。
狭間にいるからこそ、知っているのだ。
指が滑る。普段なら難なく外しているベルトが、今はうまく外せない。
その間が、体中を駆けめぐる熱を奪っていく。
双眸から焦げついた涙が、ぽたりと落ちた。
これはマヤマのためにしているのではない。
ロープからマヤマが落ちてしまったことが寂しくて、狭間にいることが息苦しくて、ただ暴れているだけ。
熱を失った思考が導き出した答えに、僕は崩れ落ちた。何度もマットを叩きながら、泣き叫ぶ。
こんな場面になってもまだ、僕はロープを掴んでしまった。
飛び降りる勇気を、僕は持っていないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!