子供と大人の境界線

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 更衣室は上階にある。クラスメイトがぞろぞろと階段を上る中、僕より先を歩く女子集団の声が聞こえた。 「ねえ、次はどうする?」 「お金足りないよね。もっと遊びたい」 「早く持ってくればいいのにさ。焼肉行きたいし、新作コスメもほしいよねー」  これはコンちゃんの声だ。はっとして僕は顔をあげる。  僕よりも数段先を歩くコンちゃん。  これが、僕とコンちゃんの距離。  3人でいた時は近くにいたのに。今は僕よりも遠く、数段上の存在に感じてしまう。 「あっ」  考え事をしていた僕の視界で、それがちらりと映った。  階段を上るコンちゃんの、丈の短いスカートが揺れて――見えてしまったのだ。
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