子供と大人の境界線

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 赤い、赤い。  肌に食い込んで、透けて、レースの赤い下着。  息を呑んでいた。  それは扇情的だったが、むくりと這い上がった欲はほんの一瞬でかき消されてしまった。  僕を支配する、1つの感情。  失望だ。  僕はコンちゃんに失望していた。  瞼に焼き付く赤色は、このロープから降りてしまった証拠。コンちゃんは、大人になってしまったのだ。  僕とマヤマを残して、ロープから落ちていったのだ。  先を歩いていくコンちゃんは僕たちの知らない顔をしている。  大人の、乾いた風の匂いがした。
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