大人の風

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 家に帰ると、マヤマの母が来ていた。  昔はよく来ていたのだが、最近は見かけていなかった。久しぶりに見るマヤマの母は顔色が良くなく、疲労が滲みでている。体調でも悪いのだろうか。  目が合い、気まずさから頭を下げた。そのまま自室へ向かおうとしたところで、マヤマの母が僕を呼び止めた。 「うちの子、最近どうかしら?」  ひどく重たい声だった。  しかし、毎朝マヤマと一緒に登校しているが、変わったことはない。今日だっていつも通りだった。  首を傾げたまま黙り込む僕に、マヤマの母は諦めたらしい。 「……もし、何かあったら、おばさんに教えてね」  その表情は助けを求めているようだった。  自室に戻っても、マヤマの母が残した表情が頭を離れない。  僕も、あんな顔をして、ロープにしがみついているのだろうか。  大人になりたくない一心で、ただ必死に。ぐらりと揺れてもバランスをとって、なんとかギリギリを保っている。
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