修学旅行の夜のこと。

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ちょうど塗り終わったところで見回りの先生がやってきた。 事務的な用事は、奥でまだ何かやっているユウキに代わって私が済ました。 話しぶりからすると、消灯後の見回りはないらしい。 生徒の良心にゆだねるとは言っていたが、まあ先生方も疲れているんだろう。 「お、先生いなくなった?」 奥から声がする。 「うん。見回りもないみたいよー」 「よっしゃ。夜更かしし放題じゃん」「ほどほどにね…」 サイドテーブルを挟んであるお互いのベッドに腰掛けた。 先生が来ないと分かっていても少し照明を暗くしてみる。 ちょうどベッドの周囲が見えなくなるくらいの暗さになった。 心地よい暗闇に心地よい沈黙が流れる。 お互いにとりとめのないことを考えているといった風だ。 多分その中から話題を探しているのだろう。
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