始まり

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良かった、ちゃんと走れているじゃないかと安堵して前を向くと、真正面には歪んだ男の顔があり、僕に向かって「はぁい。」と笑いかけると彼女と同じように赤く光るナイフで腹を刺されてしまった。   腹を中心に今までに味わったことのないような激痛が体中に走る。 意識が遠のきそうな傍ら、耳元に男の顔が近づき「ざまあみろ」というとまた笑い始めた。 こんなにも痛いものをさっき彼女は何度も何度も受けたのかと思いながら、どこか遠くの方から微かにサイレンの音が聞こえてきた。 この都会で人通りが多い場所に起きた事件は夕方のニュースに早くも取り上げられ、視聴者や電子ニュースを見ていた人々に衝撃を与えた。 僕の視界が急に視界が暗くなり、意識を取り戻しながらも目を開けたのはこの出来事が起きてから2週間後の事だった。
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