間違い探し

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 繰り返し、つながった。朝日がのぼっても猿みたいにキスをして、とうに壊れきっている貞操観念をいたぶりつくして、凌辱の限りを尽くした。  嬌声が響く八畳一間の下宿に、黒い海がばら撒かれて、ピンクのクラゲが水面を揺蕩う。  抱き着き合って、火照りはなおも冷めない。  昼間になって、醒めない。  また夜が来て、ご飯を食べることも忘れてまたまぐわった。果てもなく、果てて。 「好きだよ、好き」 「僕も好きだよ、愛してる」  嘘で塗り固めたベッドの上はいやに弾力が良かったんだ。  ******  その日からヒロコちゃんとは連絡を取っていない。これも、どちらともなく。  せいせいするほど気が合った。  あの公園でタバコを燻(くゆ)らせヒロコちゃんとの過ちを思い出す。僕は当時付き合っていた恋人とはとっくに別れているけれど、ヒロコちゃんといえばどうしているのだろうな、と。  思っていた矢先、ヒロコちゃんが男に手を引かれ駅に向かうのを見た。  とても、幸せそうに。  どす黒く膿んでいた何かが、いちじくのつぶれるような音を立てて、僕は少し悔しくなった。真っ当な人生を送るであろう彼女とはもう、関わっちゃいけないんだ。なんと僕の女々しいことか。  一度の遊びくらいとっくに忘れてもいい頃だろうに。ごめんなさい。     
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