SUICIDAL SHINEN GIRL

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 知らない人のために。生理は安全日なんて嘘っぱちです。精子は子宮の中で生きながらえます。低用量ピルを飲み忘れても三日間は効果があると言いますが、本当でしょうか。ああまた、アフターピルをもらわなければ。  小鳥のさえずりに、目を覚ました私は部長の脂ぎった頭皮の匂いで起きました。それからのことはなんとなくでしか覚えていません。  土曜日だったのでいつもの産婦人科は休診でした。自分の部屋には帰りたくなかったので、彼の家に行こうと足を向け、歩を進め、と金になったところで到着です。王手です。  インターホン越しの上ずった声で、彼が慌てているのだと気付きました。いい気味。どこに女を隠すのでしょうか、見ものです。  程なくして出てきたのは彼のバンドメンバーでした。曲作りに徹夜していたそうです。 「えっ、だって居酒屋にいたはずじゃあ」 「居酒屋に? 馬鹿言うなよ、昨日の夜はライブ前でスタジオに籠りっきりだったんだ。今だって、俺の家で仮眠とってたところだよ」 「はっ……えっ……?」 「どうした、顔色悪いぞ? なんかあった? そういえば、明日言おうと思ってたんだけどな……俺、就職決まったよ。今回のライブで、俺はバンド辞める。その申し送りもちょうどしていたところなんだ」  駆けだしていた。深淵を探すために。腸が煮えくり返る思いで。  ああ、深淵、深淵、この野郎。私を騙しやがったな。絶対に殺してやるからな。     
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