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手近に見えた外灯に、ふらふらと歩み寄って両手で掴まった。
頭痛くて、気持ち悪い。
ずるずるとその場にしゃがみ込みそうになっていると、何やら男の人が話しかけてきたけど、もう何言ってるかよく聞こえない。
うっさい、さわんな馬鹿。
そう言って追っ払いたいのに、声が出ない。
その時、真後ろから私のお腹を抱えるようにして両腕が絡みついてきた。
「……お前、ほんとに質悪い」
ああ。
こんなに前後不覚になったって、あなたの声だけはしっかりと聞き取れてしまう、私の耳はなんて正直なんだろう。
好きなんです。
そう再び自覚させられて、私はぷつっと意識を飛ばした。
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