恋を知る夜

41/41
22278人が本棚に入れています
本棚に追加
/845ページ
手近に見えた外灯に、ふらふらと歩み寄って両手で掴まった。 頭痛くて、気持ち悪い。 ずるずるとその場にしゃがみ込みそうになっていると、何やら男の人が話しかけてきたけど、もう何言ってるかよく聞こえない。 うっさい、さわんな馬鹿。 そう言って追っ払いたいのに、声が出ない。 その時、真後ろから私のお腹を抱えるようにして両腕が絡みついてきた。 「……お前、ほんとに質悪い」 ああ。 こんなに前後不覚になったって、あなたの声だけはしっかりと聞き取れてしまう、私の耳はなんて正直なんだろう。 好きなんです。 そう再び自覚させられて、私はぷつっと意識を飛ばした。
/845ページ

最初のコメントを投稿しよう!