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私を見ない、さよさんばかりを見ている横顔が好きだ。
叶うことない気持ちを静かに抱いた、その横顔を好きになってしまってたんだ。
だから東屋さんの恋に同調して、苦しくて仕方なかった。
私の恋も叶わないと、わかってしまうから。
振り向いてくれない東屋さんを好きでいるしかないのだと、悟らされてしまうから。
苦しい。
東屋さんは、こんな痛みをずっと抱えてきたんだ。
頭が重くて、泣きそう。
おまけに口の中がカラカラで……。
咽喉が、痛い。
「……けほっ」
かっさかさに枯れた咳が出て、ぱちっと目を開けた。
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