週明け、私はまた、失恋する

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京介くんの言葉の、どこまでが本音だったのかわからない。 本当に全部が本音だったのかもしれないけれど。 もしかすると、それが全部でもなかったのじゃないかと、袋一杯のお菓子は私にそう思わせた。 その夜は全くと言っていいほど眠れず、朝も空が明るくなるよりも先に目が覚めてしまい、いつもより早い電車に乗って出社した。 オフィスに着いて、まだ誰もいないと思っていたのに給湯室から聞こえた話声に、反射的に足を向けた。 「どうしても、この挽き立てのコーヒーが飲みたくなる時があるんですよね」 「前は毎朝挽いてたんだけどねー。近頃は週一でまとめて挽いちゃってるから」 ふわ、と花が舞う。 その横顔を、綺麗だと思いながらも、苦しいなんて。 泣き言をいう資格はない。 京介くんを傷つけて、私はこの片思いを続けることを決めたのだから。
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