うつろう花は甘く色づく

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ふたりを横目で見ていれば面白い。 ここを動く気はないけど糸井は鬱陶しいのか追い返そうと苦戦する一花と、ぐいぐい押して来る糸井。 つい、そこで余計な一言を入れてしまう。 「一花、日本酒も行けるって言ってたよな」 「ちょっ?!」 「おおいいねえ!」 慌てて俺を見て、困った顔をするのが可笑しくて、なおさら冷たくそっぽを向いた。 これまで無神経にずかずかと口出ししてきた仕返し……というわけでもない、つもりなのだが。 内心びくびくしていただろうに、それでも果敢にビール瓶を持って謝りにきた一花を見てから、なんだか妙な気持ちになっていた。 無性に、つっついて困らせてみたくなるような。 なつかれれば、敢えて遠ざけてしょ気るところを見たいような。 案の定、心なしか肩を落として彼女は糸井から猪口を受け取る。 そこから、一花はさよさん以上のハイピッチで日本酒を煽った。
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