僕の初バイトと清水さん2

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僕の初バイトと清水さん2

「早く帰りてー。午後授業潰れんかな?」 「んなわけないだろ。ってか加藤はどうせ部活があるからすぐには帰れんだろ。」 「まぁ、そうだけどな。あぁ、早く帰ってゲームしてえなぁ!」  晴天が続く4月の終わり頃。僕は加藤と自身の弁当をつついていた。いわゆる昼休憩というやつだ。 これといって大きな話題があるわけでも無く、互い互いに独り言とも取れるような言葉ばかりを呟いている。なんとも無意味な時間だ。僕が何か話題を探していると急に加藤が試すように聞いてきた。 「なぁ、お前って片山って生徒知ってるか?片山玲」 はて?そんな人いたっけな。片山、片山......。 「あぁ、片山さんっていったら向こうの席にいる人でしょ?流石にクラスメイトの名前くらいは覚えてるよ。それで、片山さんがどうかしたの?」 片山さんっていったら僕の中ではいつも一人で本を読んでいるイメージがある。物静かで人と交わろうとしないからなんだか近づき難くて怖いんだよなぁ。そんな片山さんがどうかしたのかな? 「あぁって、お前絶対忘れてただろ。まぁいいや、 そんなことよりお前は片山の実家って知ってるか?」 知る訳あるかい!どうやったら知ることができるんだよ。 「おいおい、そんな顔して俺を見るなって。知る訳あるかって顔に書いてあるぞ。」 「わかったから、本題を早く話せよ。」 「そう焦んなって。実は片山さんの実家は寺院を経営していて、彼女はそこの一人娘らしいんだよ。 しかも、寺院の名前は忘れちゃったけど陰陽道で有名なところなんだって。なんだか意外だよな!」  ほぉ、それは確かに興味がある。人の意外な部分は僕は案外好きだったりするのだ。 「まぁ、たしかに意外だな。陰陽道で有名なところか、、、、確かそんな場所があった気がしなくもないけど。名前までは覚えてないな。そんで、それに関する情報は他にはないの?」 「ない!」 「それだけかよ!」 要するに片山さんは陰陽道で有名な寺院の一人娘だということだけを言いたかったらしい。 他の情報を期待した僕が馬鹿だった。 そもそもそんな話聞いたこともないから真実かどうかすら怪しいけれど、もしそれが本当だったら
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