僕の初バイトと清水さん2

3/4

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
全く見当が付かないのでとりあえずついていくことにする。少し怖いけど....。 しばらくの間僕と片山さんの間で言葉を交わすことも無く静かな時間が続いた。そして、先に静寂を破ったのは片山さんの方だった。片山さんの口から出た言葉は僕の予想もしなかった意外な言葉だった。 「君は私の家についてなにか知っている事はあるの?もしあったら教えてほしいのだけれど。」 ど、どういう事だ?一体片山さんは何を知りたいのだろう。 「えっと、、すみません。あまり知らないです。」 「そう........。わかったわ。あぁ、それともう一つ。あなたの最近体の調子はどうかしら。何か優れないところがあったりしない?」 「いえ...得にはないです。いたって健康ですよ。」 「そう.....なら良かった。」 片山さんが一瞬笑ったのを僕は見逃さなかった。  片山さんは一体何を言いたいんだろう?わざわざ僕の体調を聞くために呼び出したとは考えられにくいし、笑ったということは何か裏があるはずなんだろう。けれども全く読めない。 僕の頭上に疑問符がある中、片山さんは続ける。 「実は私の実家では古くから存在している寺院を営んでいて、特に陰陽道に精通しているの。私はそんな場所で幼い頃から育ってきたから多少なりとも陰陽道についての理解があるのだけれど、今の君にはあまり良くないものが憑いているわ。いや、憑いているのではなくて身近に存在しているわ。 これはあくまで私の予想だけれど、あなたが今通っている場所なり"バイト先"にはこの世のものではない存在が紛れているの。そうね、"人ならざるべき者"といったほうが早いかしら。  現時点では何事もないかもしれないけれどきっとこの先、あなたの身に何か良くない事がふりかかると思うの。だからあまりそういった場所に近づかないことをお勧めするわ。それじゃあ。」 片山さんはそれだけを話すと、後は言うことは何もない。といったように僕をおいて足早に一人で帰っていった。  正直な所、僕はさっきの話をあまり信じる事ができない。 僕は根拠のない話を信じない様にしているけれどさっき片山さんが僕に話した内容はまるで根拠というものが無かった。だから信じる必要はないのだけれど、あの片山さんが僕にわざわざ話しかけるなんてよほどのことがない限り有り得ないからそういった分、余計に心配になってしまうな。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加