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彼女が片山さんの言っていたこの世のものではない存在なのかもしれない。にわかは信じ難いけれども、でも、まさかそんな...
「いや、まさかそんなことが実際に現実で起こるはずが.....。」
「そんなところで何をしているのですか?」
「っっ!!」
後ろを振り返ると大きな荷物を抱えた清水さんが立っていた。思っていた以上に真剣に考えてしまっていたようだ、清水さんに全く気が付かなかった。
「そこにいると邪魔にしかならないので早くお店に入って仕事をしてください。」
「す、すみません。急いで着替えて掃除してきます。」
「いえ、掃除はしなくて結構です。今日は他の仕事をしてもらうつもりなので着替えたら厨房で待っていてください。」
「わ、わかりました。」
おぉ!どうやら今日は掃除以外の仕事をさせてもらえるみたいだ。一体どんな仕事をさせてもらえるのだろうか?流石にいきなりお菓子作りはないだろうから恐らく、食材の仕込みだろうか。それともパッケージの組み立てだろうか。どちらにせよ早く仕事したいな。少し楽しみだ!!
「まだ洗い終わっていないのですか!?遅すぎです!早く洗わないとどんどん溜まっていきますよ。」
「ご、ごめんなさい。」
道具洗いでした。
なんだか外掃除と変わらない気がしなくもないけれど、間接的にお菓子作りに関わっているから良しとしよう。洗い物はなんだかんだ言って大切な作業でもあるからね。
ちなみに、清水さんはというと、お菓子に使うであろう食材の下ごしらえをしていた。慣れた手つきで食材である栗の身をほぐしている。下ごしらえの時点ですでに美味しそうだ。
こうしてお互いの仕事を淡々とこなしていく事、十数分。それぞれの仕事は終わりを迎えていた。僕の方はひと通り洗い終えたし、清水さんも仕込みを終えて今は休憩している。ずっと気になっていた常連の小さな女の子の事について聞いてみるなら恐らく今が最適だろう。少し怖いけど聞いてみるか。
「あの.....清水さんにお聞きしたいことがあるのですが、いつもお店の終わり頃に来る小学生くらいのお客さんっているじゃないですか?」
答えてくれるか心配だったけれど清水さんは眉間にシワを寄せながらもしぶしぶ答えてくれた。
「確かにいますね。その方はうちの常連客ですよ。昔から良く来ていました。」
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