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清水さんの居所2
実は僕はあまり運というものを信じてはいない。
いろんなジャンルや世界でよく運が良かったという言葉が使われているけれど、実際そんなものは何かしらの要因が存在しているのだ。だから僕は運をあまり信じない。けれど今日、この日を持って運というものを少しだけ認めなければならなくなってしまった。なぜなら.......
「し、清水さんっ!!??」
なぜなら突発的にバイトを始めようと思い、そしてこの広い街の数あるバイト先の中で一度は離れてしまった僕の憧れの先輩、清水さんに出会うことができたからだ。
この出来事には原因も要因も関係なくまさに運が良かったとしか言えないのではないのか!!
「えっと、どちら様でしょうか?どうして私の名前を知っているんですか?」
僕が一人で感動していると困惑気味な態度を取りながらも、まるで変な人を見るような冷たい目で清水さんが見てきた。
あれっ?もしかして、、としかしてだけど覚えてもらっていない?
いやいやいや、流石に薄いといっても関係性が少なからず存在していたわけだし、全く覚えていないということは無いだろう。もし覚えてもらっていなかったらショック死して、あの世に転生してしまうことになりかねないよ。
というわけで僕は少し緊張はしながらも、もう一度だけ確認の意味を込めて質問してみる。
「あのっ、清水さん.......。ぼくのことおぼえていますか?(ドキドキ)」
「ごめん。君って誰?」
ショック死しました。
っっとぉ、危ない!もう少しで転生しかけた。
きっと転生先に待っているのは天国ではなく地獄だろう。意識が素早く戻ってきてほんとに良かった。
速くなる心臓を押さえつけながらなんとか生き延びるぼく。とりあえずひとまず安心だ。って、あぁ、いけない....僕の一連の行動を見ていた清水さんの見る目が変人を見る目から捨てられた子犬を見るような目になっている。こ、これは心に刺さる。どうにかしなければ
「もしかしてバイト希望者の方ですか。」
この状況をどうしょうか悩んでいる僕を前に清水さんは一瞬、何かを思い出したかのような顔をしてすぐに元の冷ややかな視線に戻した後素っ気無い口調で僕に聞いてきた。
「あ、はい。ここでバイトの方を探していた様子なのでバイトをしようかと思いまして。」
僕の言い方が少しおかしかったのか、清水さんは眉間に一瞬シワを寄せたけれどまたすぐに表情を
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