平日

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「怒るなよ」 「怒ってないし」 「悪かった」 「だから、怒ってないし」 「誕生日、だろ?」 彼女の肩が、ぎくりと跳ねる。素直な反応に、苦笑が零れる。 「んな確認しなくても、プレゼントはちゃーんとやるよ」 「……そ」 「まったく、手のかかる妹だな」 来週の月曜日は、七月七日。 空想上のリア充が、年に一回逢瀬する日で、彼女の誕生日。 晴れた年は、彼女は彼氏と誕生日デートに行く。 雨の年は、大人しく家で手作りの誕生会。俺の家族も誘われる。 だから、俺は毎年、雨が降るよう願う。それこそ、七夕の願い事を使いきる勢いで。 だからこそ、軽い調子で言ったのだ。 それなのに、ちらりと俺を振り向いた彼女は、今にも泣きそうに、澄んだ瞳を潤ませていた。
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