昼休みの出来事

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「……やはり頭が良いな。恐れ入ったよ」 「お褒めに預かり恐縮だね」 互いに沈黙する。 創はジャンケンの話が無効になった以上、他に確実に勝てる自信のある手段がないかを模索している。 一方、徹は何か思いついたかのように眼鏡を外してレンズを吹き、かけ直したあと話を切り出した。 「創くん。今一度頼む。ここは僕に譲ってはくれないだろうか」 「……一体何を言ってやがる。そう簡単に譲れるわけがないだろう?」 あまりに突拍子のない徹の発言に創は疑問に思い問いただす。 「まあ聞きたまえ。君はいつも陸上部で鍛えててかなり足が速い。他の場所のトイレには走っていけば速攻で着くことが出来るはずだ。それに君には強靭な筋力がある。我慢する力も俺より圧倒的に上のはずだ。対して、僕の臀部(尻)。すなわち肛門括約筋はもはや限界ギリギリだ。他のトイレになんて行く余力はない。間違いなくダム(尻)が決壊する」 「……生徒会長が生徒に廊下を走ることを促していいのかよ」 「何者にも、不測の事態というのは存在するだろう?今回ばかりは目を瞑ろう」 徹の提案に対し、創は微笑む。確かにその通りだ。徹より創の方がよっぽど他のトイレに行ける確率は高い。最も合理的な判断だ。 ただし、それは創が本調子であった場合だ。 「……確かにお前の言う通り、ここで他の階のトイレに走った方が本来なら良いのかもしれないな」 「だったらーーー」 「だが断る」 創はどこかで聞いたことあるような言葉で拒否をする。 「貴様。どういうつもりだ」 創の発言に多少のイラつきを覚えつつ、しかし冷静に徹は受け答える。 「限界ギリギリなのがお前だけだと思ったか?そこまで評価してくれるのは有難いが残念だったな。俺は既にここに来るまでに全力疾走をしている。今からまた他の場所に走ったら、流石の俺でも間違いなく腸の中の陸上選手(排泄物)がゴール(尻)を突き破る」 徹と同じように、創もギリギリの状態。故にどうしてもここのトイレの一室は見逃せなかった。 「そうか。それは配慮が足りなかったな」 そう言いつつ徹は指を1つ立てる。 「それならば、もう1つ。僕から提案がある」
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