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「……今日の俺の午前最後の授業は、体育だった」
「体育だと?それが何か関係がーーーーーー」
そう言って徹は何かに気づいたかのように言葉を止める。
「まさか!貴様!」
「そう、頭の良いお前ならすぐに気づいたはずだ!今現在の体育の時間は外でやることが多い。この炎天下の中、運動をすると当然喉が乾く!喉が乾いたら水を飲む!たくさん飲んでやったさ、それこそどのくらい飲んだかわからないくらいにな!もしかしたら1リットルなんて簡単に超えているかもしれないな!」
「……ということはつまり、貴様の腹にも当然」
「そう、激痛が駆け回ってるぜ」
徹は創の顔を見る。表情から嘘を言ってるようには見えない。これでは彼も自分と同じだと納得せざるを得ない。つまり、互いに状況は対等だということだ。
そう理解した徹は息を軽く吐く。
「……どうやら本当の本当に、お互いに引けないようだな。非常に残念だよ」
「……そのようだな。俺もこんなことになるなら他のトイレに行けばよかったよ」
「なら、僕からの最後の提案だ」
徹はそう発言したが、創は徹が何を言おうとしているかは既に分かっていた。互いに状況は同じ。言葉だけでは解決しない。もうすぐ午後の授業も始まる。時間もギリギリだ。決着は早く着けなければいけない。
ならば、結局最後はこうなるに決まっている
「先にトイレのドアノブに触れた方が、トイレに入れる。これでどうだ」
「良いだろう。その勝負、乗った」
そう言っていつでも動けるように二人は身構えた。
もう語ることなんてない。どう転んでも、トイレに入れるのは1人だけだ。
勝負は、一瞬で決まる。
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