後悔裁判

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数週間前。 その日は、冬場の冷えた雨が朝から降り注いでいた。 「だりぃ……」 学校を終え帰宅したハルマが、雨でビショビショになった服を玄関で脱いでいた。 その音を聞きつけたのか、母がタオルを持って顔を見せる。 「お帰り、ハルマ。ほら、タオル……」 「……るせぇな、触んな」 舌打ちを零し、母からのタオルを受け取らずその手を払い除けた。 適当に服を放り投げ、2階の自室に逃げる様に駆け込む。 ようやく自分の世界に戻れ、ホッと胸を撫で下ろした。 だが今日は、いつもと違う。 鍵をかけ忘れ、無情にもその扉は簡単に開けられた。 向こう側から顔を出した母の顔に、思わず苛立ちを覚える。
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