後悔裁判

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手枷の鎖が、甲高い音を鳴らす。 ハルマは力無く、膝をついていた。 その頬は紅く染まり、涙で濡れている。 「言えなかった。たった一言、ごめんなさいって言うだけだったのに。意固地になって言わずに死んで、最低な息子だ……。ごめん……ごめんな、母さん……!!」 泣き崩れるハルマの目の前に、別のスポットライトが照らされた。 高い椅子に鎮座する女が、木槌を持って鎮座している。 女は小さく微笑み、大きく振りかぶって木槌を打ち付けた。 「正直に罪を認め、懺悔した。貴様の判決は『天国』だ」 「天国……?」 「懺悔裁判は終わりだ。これにて閉廷」 ハルマは女の顔を見るなり、目を大きく見開いて固まる。 「あっ……あんたは……!?」 再び轟く木槌の音と共に、ハルマの意識は闇へと堕ちた。
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