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後悔裁判
『塩屋ハルマ、一歩前へ』
女の声と同時に、ハルマと呼ばれた少年は暗がりの中から姿を現わす。
ハルマの手には枷がかけられ、枷から伸びる鎖は暗闇の中に紛れている。
スポットライトで照らされたこの立つ場所以外、部屋に灯りは無い。
周りで騒めく声と名を呼んだ声で、この場に他に誰かいる事はわかった。
だがそこに誰かいるという存在感だけ感じ取れるが、闇が深すぎて目視は出来なかった。
『罪を懺悔しろ。貴様がここにいる理由は、言わずともわかるはずだ』
また聞こえる女の声に、ハルマはピクリと肩を震わす。
懺悔しろ……。
伏せていた瞳は、自身の前へと向けられる。
その声が聞こえる方へと視線を移し、言葉を漏らした。
「死んだ今だからこそ、ただただ後悔してる……」
ハルマの目から、自然と涙が溢れていた。
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