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並び始めて、どれくらい経ったのだろうか。
ほんの数時間のような気もするし、数日経っている気もする。
とうとう、自分の番がやってきた。
やっと、ロケットに乗れるのだ。
いよいよとなると、何だか少し緊張してきた。
「では、次の方どうぞ」
呼ばれて、一歩前に進み出た。
「IDカードをお願いします」
「はい」
あらかじめパスケースから取り出しておいたカードを手渡す。
「沖田サオリ様ですね。はい、確認致しましたので、そのまま前に……」
促されてロケットの方へ進もうとすると、二人の男がこそこそ話始めた。
ちらちらと見られて、立ち止まる。
そこに慌てた様子で、もう一人男がやってきた。
その人はカッチリとしたスーツを着ていた。
「沖田サオリ様。……残念ですが、沖田様は審査を合格しておられないようでして……。
本来ならば事前に通達をするはずなのですが、こちらの不手際で……大変、申し訳ありませんでした!!」
スーツの男は申し訳なさそうな顔をしながら一気にしゃべると、勢いよく頭を下げた。
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