ロケットに乗って

8/9
前へ
/9ページ
次へ
男たちは困ったように目配せして、またスーツの男が話し出した。 「もちろん、沖田様は犯罪者ではありません。 結婚詐欺の常習犯でもないですし、兵器の開発を企む科学者でもありません。 特別に、突出して、これが悪いといったことではないんです」 「はぁ? じゃあ、何で……」 「この審査では、滅亡する地球に残す人間を選ぶという、とてつもなく重大な決定をする為、何千、何万といったチェック項目がありました。 それで、沖田様は……ギリギリ、本当にギリギリのところで不合格となったのです」 「そんな……! 何が! 私の何がギリギリダメだったって言うんですか!」 思わず身を乗り出してスーツの男に掴みかかろうとすると、それより早く、私が他の男たちに羽交い締めにされた。 「離して! 離してください! 嫌だ、ここに残りたくない! 私もロケットに乗るんだ!」 「落ち着いて! 暴れないで!」 「ダメだ、連れていけ!」 「嫌だ、まだ死にたくない!!」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加