私は受験生

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「手紙ありがと。  ゆうこ俺、ちゃんと帰ってきたよ?」 「貴志クン…ゴメンね?  私、もう待ちきれなくて。これから探しに行こうかと……あ…」 「泣くなよ! ゆうこが泣いたら__俺も悲しい」 「た、貴志クンッ。  もうどこにもいかないで?  ずっとずっと…一緒にいて」 「わかったよ。  どこにもいかない、君のそばにいる。ゆうこ……ん…」 「貴志くんっ…くふっ…」  ひしと抱き合い、口付けを交わす2人__  から離れること3メートル。  リビングの隅に置かれたコタツに、受験生の私がいる。  さっきから、カチカチする度に折れまくるシャーペンの芯を。  兄の指とツメの間の、やーらかいトコでカチカチしたい。  そりゃあ確かに、ゆうこさんは可愛いよ?優しいし、女子力高いし。  なのにナゼか兄を選び、イマドキ快く実家同居を受容している。  しかし__  私は声を大にして言いたい。 『兄ちゃんさ、たった2泊出張してただけじゃんか。 “どこにも行かない”って、命令違反でクビになるじゃん?』  でも、何か妬いてるみたいで悔しいから。  せめてあの延びきったヤツの鼻の下に、因数分解書きなぐりたい。 終
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