第一章

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ごるるるるっ・・!! 雷神が持つ戦鼓の如き轟きと共に、猛烈な大波が押し寄せる。 その波形に合わせ、半ば条件反射的に開こうとするゲート。 緊張状態から解き放たれ、 「排除すべきものを排除せよ」 という、本来のプロセスに立ち戻った大腸の動きを、体をくの字に曲げる事によって無理やり制止する。 再びどっと噴き出す冷や汗。 涙か汗かはわからない液体で歪んだ視界に、ポトリと細長いものが映り込んだのはその時だった。 「・・・はぁ・・っ」 声にならない彩乃くんの悲鳴が伝わると同時に、こめかみを強い衝撃が襲う。 下腹部に気を取られた隙に手放してしまった縄に続き、床に蹴り飛ばされた私の体。 そして自由を取り戻したはずの腕から仕込み時計が剥ぎ取られ、忌々しげに私の顔面近くに叩き付けられたのはその次の瞬間の事だった。
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