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祭りの舞いをする者は年々変わっていくらしいが、過疎化のせいでこの町の住人は驚くほど少ない。
人がいないからといって何年も舞をさせられるのは嫌だ、と彼女は膨れつつも、どこかで楽しんでいるようにも見えた。
「僕は君が舞った姿を見たことがないから、どんなものか楽しみだけどね」
「でも、多分、今年で最後になると思うよ……」
「どういうこと?」
言われた言葉の意味が分からず、首をかしげながら問うと、彼女は微笑みを返した。
日が沈みかけた頃、こじんまりとした神社を訪れる。
祭りの準備が整うと、神社は小さな能舞台のような場所になった。
町民たちが集まると、皆、口々に「あの子の舞は素晴らしい」と嬉しそうに話す。
自分のことでないのに、どこか誇らしくなった。
一人の娘が物静かに舞台に上がる。
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