きみとわたしといちごオレ

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あーあ、なんで私は、こんなことすら素直に言えないんだろう。そりゃ私じゃダメだろうな。こんな可愛くない奴なんて。 ふん、と。鼻でわらったつもりだった。それなのに地面に落ちたのは大粒の涙で、驚いて慌てて手のひらで拭う。 拭っても拭っても止まらない。暴れて引き攣る心臓を強く押さえる。綺麗にアイロンをかけたシャツの胸元に皺が寄る。 苦しい。辛い。痛い、痛い──痛い! もう、限界だ。心が悲鳴をあげている。 やめてくれと。これ以上おさえつけられたなら壊れてしまうと。 どれだけ理屈を並べても、どれだけ気持ちを押さえつけても、もう自分を納得させられなくなり始めていて。 「……ねぇ、“海ちゃん”」 無意識に紡いだ、幼い頃の呼び名。 「いちごオレ好きだったのって、さ。海ちゃんのほうだったんだよ」 指先でつつけば、ピンク色の紙パックは呆気なく倒れた。 「だから、私は」 これを、すきになったのに。 「……ねぇ、もう覚えてないの?何も?もう、私との思い出は心には残ってない……?」 ただひたすらに、痛い。 この関係を断ち切る勇気は私には無いけれど。正直な私の心は違うから。 いつか私は、きっときみに伝えてしまう。 最近、思うの。きみは一体どんな顔して断るんだろう、って。 すっかりぬるまったいちごオレを嚥下する度、次から次へと涙が溢れた。
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