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これは日記だろうか。
紙の山の中から出て来たのは厚めの手帳。見るもんじゃないよね人の日記なんて。
それ以前にこの世界の字が読めない事に気がついた。
パラパラとめくるとセピア色の写真が挟まっているのを見つけた。写真機ある世界なんだ。キングスと女の人だった。若い二人が仲良く並んで笑ってる。大事にしてるという事は彼女か嫁さんかなあ。
無精髭のおっさん顔しか知らなかったから写真のキングスは若くて可愛く見えた。彼女の笑顔も素敵だった。
気に入って居間のテーブルに飾る事にした。
ゴトン
物音がした。
この家は持ち主不在だから誰が入ってもいい感じなんだけど、今は夜中だ。
魔物か獣かと音の方に確認しにいく事にした。
アイリだった。ドアの前で立ち尽くしていた。
なんか更に痩せていた。
「お前は誰だ、人の家で何をしている」
あ、今人だった。失敗したなあ。俺字も書けないし話せないからどうしよう。いきなり魔獣になったらボコボコにされそうだし。
「誰だ。ここはキングスの家だ。出て行け」
そうだ。あれが有った。おぼつかない動作でチェスト内を探す。
「聞いているのか!」
あった!ずかずかと向かって来たアイリに振りむいて突きつけた。
「は?ハンカチ?がどうした、…っこれ」
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