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「この写真お前が見つけたのか。ははっ。おっさん若い。俺も嫁さん見つけないとな」
テーブルの上に置いた写真に気が付いた。アイリも二人の笑顔が気に入ったのか、微笑んで暫く見つめていた。
アイリはキングスじゃ無い。
それはわかってる。二人ともよく知ってる人でも無いけど、今、アイリから目を放したら危うい気がした。
食料がないなと小川で釣りをするというから側に居た。もちろん中型犬の姿だ。
「懐かしいな。お前拾ったのはもっと上流だったな。お、きたきたー」
釣竿をあげると見事に川魚が釣れていた。
さすがだなって意味で俺の頭をコツンと当てた。
「おっ、褒めてくれてるのかー?」
わかってくれてるじゃないか。ぐりぐりと頭を更に押し付けといた。
部屋の片付けもしてくれた。
慣れない人の体で動くのは難しかったし、アイリが来てからはずっと犬だったから助かった。
「良いもの見つけた。多分コレお前のだろ?名前モルって言うのか?ほら来いモル、付けてやる」
それはタグだった。
キングスは首輪を用意するつもりだったんだろうか。
アイリはタグに丈夫そうな組紐を通し、首輪にしてくれた。
「ははっ、似合うじゃないかモル」
だだもう一度呼んで欲しかった名前だった。呼んでくれた。それはとてつもなく胸に響く名前だった。
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