であい

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ずるずると体が引っ張られて伸びるのがわかった。伸縮しても基点が固定された場所になるから、掴まれた所に向かって縮むのが俺の弱点なんだ。伸びて伸びきって、もう無理だ。 シュッ! 「うおっ!」 びたん! 「は、はははは!痛えな、クソ」 ぶよぶよと黒シリコンもどきの塊の俺を持ち上げたのは人だった。 「モル、ただいま」 キングスだった。顔はしわが増えて髭も口を囲むラウンドになってたけど、右のこめかみから頭に向かって大きな傷があったり少し痩せてたりしたけど、これは間違いなくキングスだった。 目の前に、キングスのおっさん。 「お、おお?」 べちゃっ 俺は脱力して溶けキングスの手から滑り落ちた。シリコンから、片栗粉でとろみつけたあんかけのあん位ゆるゆるな物になったのがわかった。 キングスを見たまま体中の水分が抜け出る感じがした。 実際、黒い体の周りに水のような液体が染み出てきて、段々体が小さくなっていたのだったが知る由もない。 「お、おおおお?!おいモル!水分!出すな出すな!縮んで無くなりそうだからストーップ!」 そうなの?どうやったら止まるのかな。 えーと、寿命かもしれないよ? 「消えるなよ!」     
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