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走って視界から消えたキングスは家の中をガタガタと、何か探していたと思ったら大きなタライを持って来た。そこに俺をポイって投げ入れた。
ぽちゃん
水入りだった。そこに滲み出た水分を、スクレーバーか何かですくっては必死に入れるキングス。俺は無意識に吸収してるようで、またぷにぷにと復活してきたようだった。
「はああぁ・・・モル、驚かすなよ」
それはこっちの台詞なんですが。生きてたんだね。俺は目をパチパチとしながら、ゆっくり触手を伸ばしてみた。キングスは微笑んでそれを見ていたけど、恐る恐るおっさんの頬を押してみた。成長したからか力加減がわからなくて押しすぎたようだ。めっちゃ頬がつり上がり頭が傾く程の力だったようです。
「おーいモル、押し過ぎだぞー」
ほんもの、だ。
「頭の怪我で混乱してなあ。家が分からなくなってたんだよ。頭に浮かぶのに道と場所が全然わからなくってさあ。流れで仕事して放浪してたらアイリと遇ってな。いい歳して迷子だから連れて帰ってもらったんだ。はは」
あご髭を擦りながらボヤくキングス。
「お前の事言ってたぞ。魔物が人の形になれるって。可愛くって驚いたってさ。魔物に取り付かれそうだって慌てて飛び出したんだと。あいつ堅物だからなあ」
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