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一人が寂しいなら犬猫にすればいいのに。なんで魔獣の俺飼うかな。森にポイッてすれば良いだけなのにね。
育てて美味しくいただくのかしら。
ゾッとした。
でも擬態して生きる魔獣って言ってたから頑張ったら四足、二足、下手したら八足とか足ある擬態で逃走できるよね。俺、エサ貰って育とうか。
「あった、あった。もう十年前か。はは………えーと幻影獣ね」
何だろ今の間は。切ない顔してたな。冒険者って過去ありな人多いからなあ。仲間とか嫁さんや彼女でも亡くしたんだろうな。
テーブルの上に広げて本を読むキングスに近づいて見た。
うんしょ、うんしょ。
なかなかの速さになってきたぞ。
「お、コレだ。なになに。能力も知能も個体差が激しく、好みを自分で決める雑食性。数日に一度の補食と水分でいいのか。育つと影に潜むか擬態して過ごす。成体の大きさも様々で寿命不明。長く生きる程擬態が本物と見分けがつかず判別不能ってか」
へーそうなんだ。本の前まで来て絵を見る。
スライムというか、ぎゅうひ餅のばしたやつというか。ゴムっぽい黒い物体の絵が描いてるのが見えた。腕を触手っぽく伸ばした身体で絵をつんつんしてみた。これが今世の俺かあ。魔物だなあ。
「はは、それがお前だ。わかるか」
うん。わかるよ。
気持ち悪い俺を飼うキングスさんは変な人か過去ありな人だよね。
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