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「モルー、どこ行った。ったく隠れんぼか?仕事で二日いなかっただけだろ。出て来い」
キングスはソファや家具の裏、テーブルの影を手で触って確認して探していた。
「モル、どこだ」
俺はクッションの裏に居る。隠れんぼは毎回俺の勝ちです。
「モル…寝てるのか?」
あ、テンション下がって来た。
キングスは筋骨隆々の割に寂しがり屋だった。俺はモルと名付けられペットやってる。
「モル…」
あーもうっ。仕方ないなぁ。
仕事帰りで疲れてそうだし出るか。スルスルとクッション裏から出て仔犬の形になった。勿論色は黒だけど。俺、少し育って擬態覚えたんだ。
よっと。
ソファから降りて、夕飯を作っている寂しげな背中をみた。犬猫飼えばいいのに。
キングスの足元にとてとて走り寄りコツンと頭突きしたら気付いて持ち上げられた。
「モル」
顔の前で見つめられた。魔獣に何て嬉しそうな顔するんだろ。
擬態は所詮擬態だ。
仔犬の前脚をぐぐっと伸ばした触手でキングスの頬っぺたをうにうに押した。
ダメだよ。寂しいなら彼女でも彼氏でも作らないと駄目だ。俺は今世は魔獣だし出来ること限られてるよ。わかってる?
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